17　弟子訓練の奥義　その2　─主の恵みによる─

　クリスチャンがみことばに生きるようになると、すべてが変わります。夫は妻を愛するようになるし、子どもは親を尊敬して従うようになります。教会では互いに愛し合い、職場では難しい人間関係の中に置かれても、誠実に仕事に励み、善をもって悪に打ち勝つことができるようになります。また、信徒たちが進んで伝道し、家族や友人を救いに導くようになります。弟子訓練をすると、聖書で教えられていることが次々と実現していくのです。

　ところで、牧師が信徒たちに何かをさせるのではなく、ただみことばを真っすぐ教えているだけで、どうして人が育ち、みことばを行うことができるようになるのでしょうか。

みことばに結び付ける

　牧師が信徒たちに何かをさせないのには、聖書に沿った理由があります。弟子訓練とは、学び手たちを「みことばに結び付ける働き」です。イエス様を愛して、イエス様のみことばに従う人が弟子だからです。牧師に結び付く人は、何かの理由で牧師が他の人に代われば、信仰がふらついてしまうかもしれません。しかし、「立てられた指導者に従いなさい」というみことばに従う人であれば、指導者が代わっても、その生き方は変わりません。

　私たちの教会で弟子訓練を受けた信徒が、転勤で引っ越し、教会を変わりました。その教会は牧師と信徒たちの間に複雑な問題がありましたが、その信徒の「みことばに従う」という生き方は変わりませんでした。移った教会で、牧師に忠実に仕え続けたのです。

進んでみことばを行う

　私は信徒たちが律法的にならないよう、「自由」を喜ぶことを教えています。私たちの教会では、礼拝を休むと裁かれるとか、奉仕をしないと評価されないということはありません。律法的にならず、ただイエス様を愛し、イエス様のみことばに喜んで従うことが、クリスチャンとしての最高の幸せです。

　一つ例を挙げましょう。小中学校では掃除の時間があり、すべての子どもが掃除に参加しなければなりません。しかし私は、教会で子どもたちに「自由」を与えています。私たちの教会では、日曜日の四時半から私の家で、中・高・大学生の集まりを持っています。皆で賛美した後、スモールグループに分かれてみことばを学び、その後再び集まり共に食事します。食事は三十人分くらい用意しますが、わいわいがやがや、にぎやかに楽しく食べ、片付けをし、めいめいが勉強したり遊んだりして適当な時間に帰って行きます。

　この集まりには食事の準備当番も、皿洗い当番もありません。それでも、いつもだれかが進んでテーブルに食事を並べ、まただれかが進んで台所に立って、皿洗いをしています。中には何もしないで遊んでいる子どもたちもいますが、だれも文句を言ったり、裁いたりしません。つまり、奉仕する子どもたちはだれにも強制されず、進んでしているのであって、彼らには律法的な考えがないのです。