
海外の映画やドラマを観たり、あるいはキリスト教式の結婚式に出席したりすると、「神父」や「牧師」という言葉を耳にしますよね。
「神父と牧師って、どう違うの?」と気になったことがあるのではないでしょうか?
「でも、『そんなことも知らないの?』って思われそうで、今さら聞けないな・・・」
と思っている方は、実は結構多いようです。
そこで、今回は、実はほとんどの日本人が知らない神父と牧師の違いを、7つのポイントで徹底的に解説します!
この記事をお読みいただくと、神父と牧師の違いの初歩的なABCから、かなり詳しい内容まで知ることができます。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
クリスチャン家庭に生まれ育つ。趣味は映画、ハイキング、ボードゲームなど。 神学校を卒業後、牧師として働いてきました。現在はフリーランスのWebライターとして働きつつ、神様の愛を伝えるために様々な活動をしています。イエス様といっしょに生きる素晴らしさをお分かちできたら、うれしいです!
神父と牧師は、どちらもキリスト教の聖職者ですが、宗派(教派)が違います。
神父はカトリックの聖職者で、牧師はプロテスタントの聖職者です。
カトリックもプロテスタントも、全ての信者が他の人々のために祈り、イエス・キリストの福音を伝え、奉仕する使命を与えられていると信じています。
その上で、カトリックもプロテスタントも、教会で特別な奉仕を担う聖職者を立てています。
カトリック教会では神父が、プロテスタントの多くの教会では牧師がこの役割を担っているのです。
さて、神父はカトリック、牧師はプロテスタントとお伝えすると、「カトリックとプロテスタントって、どう違うんだったかな?」と首をかしげる方も少なくないでしょう。
まず、カトリックの方はローマ教皇が最高指導者の世界的な組織です。
プロテスタントは、マルティン・ルターたちが中世ローマ・カトリックの免罪符(贖宥状)販売などの行き過ぎに抗議した宗教改革によって、カトリックと分かれたグループの方です。
ちなみにこの記事を執筆している私はプロテスタントです。
以前、私が地域教会で牧師をしていた時、「神父さん」とよく言われました。
「いえ、私は牧師です」と何度修正しても、「神父さん」と言われました。
牧師あるあるです。
カトリックは1549年にフランシスコ・ザビエルが日本での宣教を開始し、プロテスタントは約300年後の1859年に初めて宣教師が来日しました。
カトリックの方が日本での歴史は長いのです。
そうしたこともあってか、日本では牧師よりも神父の方が一般の方々の間でやや知名度が高いようです。
神父は、ローマ・カトリックの総本山であるバチカン市国に住む、ローマ教皇を頂点とする世界的な単一の組織に属しています。
2026年現在の教皇はレオ14世です。
カトリックと異なり、プロテスタントは世界的な統一組織ではありません。
キリスト教の歴史を少し紐解くと、キリスト教は約2000年前に誕生しました。
そして、最初の1000年間は一つの教会だったのです。
しかし、1054年の東西大分裂で、西方教会(ローマ・カトリック)と東方教会(正教会)に分かれました。
それから約500年間、西方教会はカトリック教会として一つでしたが、1517年、宗教改革者マルティン・ルターが免罪符(贖宥状)販売などの中世ローマ・カトリックの行き過ぎた慣習に抗議するために立ち上がりました。
ローマ・カトリックの「贖宥状を買えば、救いを得られる」という主張に対し、ルターはドイツのヴィッテンベルク城教会の扉に『95か条の提題』を貼り付け、「救いは贖宥状を買えば得られるものではなく、教皇や教会が与えるものでもない」と主張し、議論を呼びかけたのです。
この出来事をきっかけとして、瞬く間にヨーロッパ中に宗教改革運動が広まっていき、西方教会はカトリックとプロテスタントに分かれました。
そして、宗教改革の時代に誕生したルター派、カルヴァンの流れである改革派・長老派、英国国教会(聖公会)から様々な教団教派が枝分かれしていき、現在は非常に多くの教団教派があります。
プロテスタントはこれらの教派や教会がそれぞれに独立して運営しています。
そのため、一人ひとりの牧師はこのような多様なグループのどれかに属しています。
そして、どの教団教派にも所属していない「単立教会」の牧師である場合もあります。
また、カトリックと違い、プロテスタントにはローマ教皇のような世界的な最高指導者はいません。
それぞれの教派のリーダーはいても、プロテスタント全体のリーダーはいないのです。
カトリックでは、神父を含む聖職者はピラミッド形の「位階制」であり、教会を教え導く役割の主な担い手はローマ教皇を中心とする「司教たち」です。
「ローマ教皇」は、イエス・キリストから天国の鍵を授けられた使徒ペテロの後継者とされる、カトリック教会の最高指導者です。
「枢機卿」は、教皇を補佐する最高顧問です。
それ以外の「司教」は、特定の地域(教区)を担当し、全体をまとめます。
「司祭」は、司教たちの役割と権能を分かち与えられ、個々の教会でミサを司式したり、共同体の活動や信徒の生活指導にあたります。
「神父」と呼ばれているのは、この司祭たちです。
「助祭」は、司祭をサポートし、ミサの補助や様々な奉仕活動を行ないます。
プロテスタントには、カトリックのような聖職者の位階制はありません。
教団教派によっては監督を定めている教会もありますが、教団内の役割に関わらず牧師は互いに平等です。
さらに言えば、プロテスタントの牧師はその務めを委ねられているだけで、それ以外の点では他の信者と変わらず、信者の一人であるのも特徴です。
カトリックの神父は男性に限られています。
ただし、女性も修道女(シスター)になれます。
多くのプロテスタントの教派では、男性も女性も牧師になれます。
カトリックの神父は、徹底して神様と教会に仕えるために生涯独身を守ります。
カトリック教会は、伝統的に結婚を尊重しますが、神父の務めのためには独身制がより適していると判断し、1139年のラテラノ公会議で公式に義務化しました。
神父が独身であることは、神様への完全な献身と奉仕を象徴しているとされており、これはイエス・キリストに倣って、自ら進んで独身を選び、結婚生活を放棄する「貞潔」の誓いに基づいています。
独身の神父は家族を養う責任から解放されて、神様と教会への奉仕に専念できますし、信徒の献金に左右されず、貧しい人々にも公平に尽くすことができます。
一方、プロテスタントでは、牧師が、宗教改革者ルターやカルヴァンも結婚したように、結婚して家庭を持つことを良しとします。
ルターは、元々カトリックのアウグスティヌス修道会の修道士でしたが、宗教改革の中で修道院を出て、元修道女のカタリナ・フォン・ボラと結婚し、家庭を持ちました。
ルターと知名度において双璧をなすジャン・カルヴァンも、二人の子連れの未亡人イドレット・ド・ビュールという女性と結婚し、イドレットが亡くなるまでの9年間という短い間でしたが、家庭を持ちました。
牧師が結婚し、子育てや夫婦のやり取り、家計のやりくりなどを経験することで、信徒が日常で抱える夫婦喧嘩や育児の苦労などを「自分のこと」として理解できるようになります。
信徒と共通のこの体験があるからこそ、説教や牧会相談において、より具体的で血の通ったアドバイスが可能になるというメリットがあります。
また、牧師が家族を愛し、大切にする姿を見せることは、信徒にとって「クリスチャンとしての家庭のあり方」の身近な手本となるでしょう。
聖職者の仕事は、時に孤独で精神的な負担も大きいものです。
背後で祈り支えてくれる家族の存在は、牧師自身の心の支えにもなります。
カトリックの神父はゆるしの秘跡を行ないます。
カトリックの信者が告解室で、洗礼を受けた後に犯した罪を神父の前で告白すると、神父は父と子と聖霊の三位一体の神様の御名によって罪の赦しを宣言します。
もちろん、キリスト教において、罪を赦すことのできるただ一人のお方は、神様ご自身だけです。
信者は神父にではなく、神父を通して神様に罪を告白し、神父はそれを神様に取り次いで、神様の赦しを宣言します。
カトリックの信者は、このゆるしの秘跡を年に最低一回は受けることが勧められています。
時期はクリスマス前やイースター前に行なわれることが多いですが、いつでも必要に応じて受けることができます。
罪を告白して心をスッキリさせたり、神父からの霊的なアドバイスを受ける機会でもあるようです。
なお、告解(罪の告白)の内容は、神様と信者の間の秘密のため、神父が第三者に明かすことはないとされているため、安心して告白できますね。
プロテスタントの牧師はゆるしの秘跡を行ないませんし、告解は信者の義務ではありません。
しかし、もちろん、牧師は罪の告白をはじめ、様々な悩みを聞いてくれますし、霊的なアドバイスを与えたり、祈ったりしてくれます。
牧師にも秘守義務があるため、安心して話を聞いてもらうことができます。
親身になって話を聞いてくれますので、もし悩み事があるなら、一人で抱え込まずに、お気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
神父は説教(聖書の解説と適用)も行ないますが、おもにミサを中心とする典礼を行ないます。
「ミサ」は、プロテスタントの礼拝に相当します。
プロテスタントの礼拝との違いは、カトリックでは毎週日曜日のミサで「聖体拝領」が行なわれることです。
※「聖体拝領」とは、パンとぶどう酒を用いて、イエス・キリストの十字架の愛を記念する儀式です。
カトリックでは、週日にもミサが行われます。
プロテスタントの牧師は、カトリックと比べると、一般的に礼拝で長めの説教(聖書の解説と適用)を行ないます。
カトリックの説教の長さは10分ぐらいで、プロテスタントは約30分と言われています。
ただ、聖書の学びに力を入れているプロテスタントの教会では、45分、1時間のところもあります!
カトリックの「聖体拝領」に相当するのは、プロテスタントの「聖餐式」です。
パンとぶどう酒(多くの場合は、アルコール依存症の方や未成年の方を配慮し、ぶどうジュースを使用)を用いる点、イエス・キリストの十字架の愛を記念する儀式である点は、カトリックの「聖体拝領」と同じですが、カトリックとプロテスタントでは理解が違いますし、プロテスタントの間でも教団教派によって理解が異なるところがあります。
多くのプロテスタント教会では、月に一回、聖餐式が行われています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
いかがでしたか。
この記事では、牧師と神父の違いについて7つのポイントで解説してきました。
「牧師」と「神父」は、似通った働きをしている面もあれば、その背景にある組織のあり方、そして役割などに違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。
神父はカトリックで、世界単一組織に属し、独身で、おもに典礼儀式を司ります。
牧師はプロテスタントで、多様な教派に属し、結婚も可能で、聖書を教えるリーダーです。
カトリックの神父は、伝統ある巨大な組織の中で、一生を神と教会に捧げる「聖なる仲介者」としての重みを背負っています。
一方、プロテスタントの牧師は、私たちと同じ生活者としての視点を持ちながら、聖書の言葉を解き明かし、共に歩む「よき指導者」としての役割を担っています。
この記事が、キリスト教への理解を深める助けとなりましたら感謝です。
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