ビジネスマンと聖書 人生勝利の秘訣
第2章 すなおな心をもつこと

       
  • 2026/6/23
  • 最終更新日:2026/6/23
人生勝利の秘訣/本田弘慈

第2章 すなおな心をもつこと

ですから、蛇のようにさとく、鳩のようにすなおでありなさい
(マタイの福音書10章16節)

世界一のセールスマンはキリスト ― 四つの動物のたとえ

「世界でいちばんのセールスマンはキリストである」
これはある人の言ったことですが、まさに的を射た言葉というべきでしょう。
彼は弟子たちを通して、自分の思想、信仰を全世界に布教し、今日、ヨーロッパ諸国、アメリカを始めとして、世界の総人口の約三分の一の人々が、彼を信じ、その教えに従い、それを実行するようにしているのです。
まさしく、世界一のセールスマンということができるかも知れません。
初めにあげたことぱは、そのキリストが、弟子たちを派遣するときに語られたことばです。その前後には、この個所も含めて、四つの動物の名があげられています。それはみな、私たち人間をたとえたものです。
その動物とは、羊、狼、蛇、鳩です。

私たちは「羊」、周囲は「狼」― 職場という現実

第一の羊は、私たちお互いのことではないでしょうか。
どのように新進気鋭のビジネスマン、有能な人物でも、内心は羊のように弱く優しいものでしょう。しかし、そのような羊は表向きは隠しています。だから、周囲にいる人々もまた、みな狼のように、油断のできない、邪悪な人々に見えるでしょう。外づらはもの柔らかに見えても、一皮はぐと、内心は、獰猛な狼のような人々もいるでしょう。
そのような人々の中で生活し、活動するとき、キリストは、私たちに、
「蛇のようにさとく、鳩のようにすなおであれ」
と言われます。ビジネスマンは、この精神を忘れてはならないのではないでしょうか。

「蛇のようにさとく」― 機敏さと臨機応変

まず、「蛇のように」とは、敏捷(びんしょう)で、すばやく臨機応変の行動をとることをすすめておられるのです。職場で、いつも、暗い、のろのろとした態度でいては、決して成功できません。一を聞いて十をさとるほどの敏捷さを持つように語っておられます。

「鳩のようにすなお」― ノアの放った鳩に学ぶ柔和さ

次に、「鳩のように」とは、柔和であることをすすめておられるのです。これはまた、とても大切な精神です。
旧約聖書に面白い話がのっています。
あのノアの大洪水のとき、ノアは雨のやんだ後に烏(からす)を使いに出しましたが、烏は戻ってきませんでした。烏は水の上に浮かんでいる人々の腐肉を啄(ついば)んでいたのではないでしょうか。
この話は、ビジネスマンの注意すべき教訓を含んでいます。ビジネスマンの中にも、鳥のように当てにならない、頼りにならない人がいるのではないでしょうか。
ノアが次に飛ばした鳩は、目の前の利益にとらわれず、オリーブの若葉をくわえて、戻ってきました。それは新しい土地の発見を告げるものでした。
この鳩は、ビジネスマンのすなおな心、敏捷さをあらわしています。自分の目前に、誘惑するようなことが起こってきても、それには目もくれず、依頼されたことをとにかく優先し、自分の損得を忘れて任務を果たすこと。そのようなすなおな心の必要さを語られたのでしょう。
日本の商業学校の帽子の記章にこの鳩と蛇がかたどられているのが、今日でも多いのは、このようなビジネスマンの心構えをあらわしているからにほかなりません。

機敏さと柔和さが時代を制す ― JRと日本企業の変化

最近のJRの変わりようには感心します。改札口の応対がとにかく変わりました。車内の検札でも、男子の車掌さんではなく女性がやってきます。先日も韓国の特急に乗りましたが、やはり日本のJRをまねてか、美しい女性が検札に来ました。
今日はいつまでも旧態依然としていては、取り残されてしまいます。そうならないためには、やはり機敏な気持ちと柔和な態度をもつことが必要でしょう。
最近の企業、商社、商店の生き方にも、このことがよくあらわれています。今、日本の産業水準が世界のトップレベルにあるのもこのためてはないでしょうか。

実例:白洋舎創業者・五十嵐健治に学ぶ「変えられた心」

今日、日本のクリーニング界で、そのトップの座にある白洋舎の創始者、五十嵐健治氏は、若いときから実業家を志し、真剣にその本業に精励されました。彼は、当時の富豪、安田善次郎氏を目標にし、巨万の富を持つ実業家を志し、「金」、「金」、「金」さえあれば、万事は解決するという、狼のようなガリガリ亡者でしたが、あるとき、ふと聖書のことばにふれ、羊のような心に変えられてしまいました。それからは、自分のためてはなく、お得意様のため、やがては社会のためと、心が変容されて、あの大会社の土台を築かれたのです。
聖書に出会って後の、彼の生涯は、まことに、蛇のように行動し、鳩のようにすなおに、柔和にふるまう一生でした。

まとめ ― 蛇のさとさと鳩のすなおさを兼ね備える

私たちの心も、羊のように柔和な心に変えられて、良き、ビジネスマンとなるべきでしょう。私たちは、ともするとこの逆であって、行動は鳩のように弱々しく、その思想は蛇のように邪悪かつ危険であることがありはしませんでしょうか。
これは、断じて良いことではありません。それは必ず失敗します。やはり、蛇のように臨機応変、敏捷であり、鳩のように柔和であることが大切です。
これは、ビジネスマンが勝利する―つの秘訣であると申し上げることができます。

※見出しは、今回のために編集部で追加したものです。書籍にはありません。
*白洋舎は、株式会社白洋舍の通称です。日本で初めてドライクリーニングを始めた企業として知られ、現在も大手クリーニング・リネンサプライ企業として広く知られています。

執筆者
本田弘慈

人生勝利の秘訣 書影

『人生勝利の秘訣 ビジネスマンと聖書』は、本田弘慈による、仕事の悩み、人間関係、決断、逆境の中で、聖書のことばをどのように実生活へ生かすかを語る書籍です。新生出版社より1993年に刊行されたキーブックス001の一冊で、232ページにわたり、信仰を観念ではなく現実の働き方や生き方へ結びつけて語っています。忙しい日々の中でも心を整え、ぶれない軸を持って歩むことの大切さを示す一冊として、キリスト教と仕事、信仰と実践の接点を求めるビジネスパーソンに広く読まれています。


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