モンゴル語聖書翻訳に尽力された北村彰秀師にインタビュー

 

長年にわたりモンゴル語聖書の翻訳に尽力されてきた、モンゴル聖書宣教会の北村彰秀師に、モンゴル語聖書の翻訳にまつわる苦労話や、宣教の現状など、貴重なお話を伺いました。

モンゴル語聖書
モンゴル語聖書

― なぜモンゴル語聖書の翻訳を始められたのでしょうか?

高校時代に、世界史の授業を通してモンゴルに興味を持ったのが最初のきっかけです。当時はシルクロードがブームになっていたこともあり、モンゴルという国に関心が湧きました。大学時代に、ある宣教団体に私がモンゴルに関心があることが伝わり、「モンゴルに聖書を届けられないか」というお話をいただきました。私はロシア語を学んでいましたが、モンゴル語は話せなかったため、支援を受けてモンゴル語の学習を始め、ある程度の基礎ができた段階で翻訳作業に着手しました。

モンゴルの翻訳チーム
モンゴルの翻訳チーム

― 当時、モンゴルで聖書はどのような状況だったのでしょうか?

かつて現地語に翻訳された聖書があったようですが、モンゴルにはほとんど残っておらず事実上、手に入れることはできませんでした。ロシア語の聖書を使うしかなく、それも非常に入手困難でした。また、当時のモンゴルにはクリスチャンがほとんど存在せず、聖書は学術的な興味で読まれる程度で、神のことばとして伝えられる環境はありませんでした。テレビで外国映画を通してキリスト教という宗教が存在することは知られていたと思います。

― モンゴルの民主化以前と以後で、状況はどのように変わりましたか?

民主化以前、町には車が少なく、大通りも自由に横断できるほどでした。約50年前は宗教活動に対する規制が厳しく、伝道活動には常に注意が必要でした。モンゴル人との話には日本語が堪能な監視員が同伴し、ホテルには盗聴器が設置されているような状況でした。
しかし、1990年に民主化運動が起こり、幸いにもほとんど流血を伴うことなく社会が大きく変化しました。道が開かれ、91年には現地で宣教師として翻訳活動を続ける決意をしました。当時は配給制で、商店にも品物がなく、生活日用品を探し回る日々。毎晩2時間の停電があり、まるで旧ソ連のような雰囲気でした。日本との通信も困難で、手紙1通に1か月以上かかる状況でした。

北村先生(左)より翻訳の訓練を受ける現地の人
北村先生(左)より翻訳の訓練を受ける現地の人

― 現在のモンゴルの教会や伝道活動の状況について教えてください。

民主化以降は伝道集会の開催が可能になり、大きな教会も誕生するなど、大きく自由が与えられました。トラクトやビラ配りも自由に行われていましたが、徐々に宗教活動に対する法的規制が整えられ、その後教会は毎年更新が必要な認可制となり、手続きが大変です。
モンゴルでの教会は、福祉活動など社会貢献を伴って初めて認可されるのが慣例です。また、外国人宣教師は宣教師ビザがほとんど下りず、英語教師や福祉関係の労働ビザを取得することとなります。モンゴル人による教会運営は歓迎されますが、外国人が教会を開拓することには否定的な見解があるようです。

― 政府公認の教会のため、聖書的でない教えをするという懸念はありますか?

モンゴルの場合、一定の社会貢献活動があれば、政府からの認可が下ります。現在のところ、福音的なメッセージそのものが妨げられることはありません。しかし、国外の宗教に対する警戒心もあり、クリスチャンの増加に対して反発も見られます。

聖書をトラックに積む現地の人
聖書をトラックに積む現地の人

― 北村先生が活動を始められた当初と比べ、モンゴル人クリスチャンの数はどのように変化しましたか?

私たちが翻訳を開始した当初、モンゴル人クリスチャンは2~3名ほどでした。それ以前は存在しなかったと言われています。現在では神学校も設立され、全人口の1~2%、すなわち3~6万人がクリスチャンと推定されています。祈りが実を結んでいると感じています。

― 昨年12月に新生宣教団で印刷されたモンゴル語聖書の反響はいかがでしたか?

無事にモンゴルへ持ち込み、関係者の倉庫へ運び入れることができました。私たちの翻訳に関しては、「分かりやすい」との声を多くいただいています。今回は固有名詞や神学用語を言い換え、理解しやすさを重視しました。他の訳は欽定訳のような直訳に近い格式の高い言い回しですが、難解な表現もあり、私たちの訳はグッドニュースバイブルのように親しみやすく、個人や家庭で読むことを目的としています。

聖書を倉庫へ搬入時の様子
聖書を倉庫へ搬入時の様子

― 翻訳において特に苦労された点を教えてください。

キリスト教特有の用語や神学用語、特に「天使」「悪魔」や「天国」などはモンゴル語のどのような言葉を用いるか苦労しました。「境内」「賽銭箱」と表現する日本語訳聖書がありますが、仏教的な表現にならないよう気を遣います。また、「奉献」や「洗礼」といった言葉も仏教的なイメージを避ける必要があり、適切な表現を選ぶのに苦労しました。それらもモンゴル語に相当する言葉がありますが仏教を連想してしまう難しさがあり、誤解を招かないように注意を払いつつ、現地の文化にも配慮した翻訳が求められます。キリスト教の伝統がない国のため、意味をかみ砕いて分かりやすく訳すことがとても大切だと思っています。
コロケーション(語結合)の問題はいつも苦労します。例えば、「大きな教師」ではなく、「偉大な教師」、「疑いが消える」ではなく、「疑いが晴れる」としなければなりません。意外に思われるかもしれませんが、翻訳とは趣味の延長のようなものではなく、まさに労働です。

― 奥様は聖書翻訳においてどのような働きをされたのでしょうか?

家内は訳文全体をコンピューターに打ち込み、またページレイアウトの仕事もしました。つまり、印刷に回せる形に整えたということです。

― モンゴル語聖書の完成後、現地の反応はいかがでしたか?

新約聖書が完成した際には、多くの人から「非常に助かった」との声をいただきました。新生宣教団では1984年、1988年、1993年に新約聖書の分冊を印刷していただきました。それ以前はモンゴル国内で印刷された聖書の製本品質が悪く、ページが外れるなど落丁が多く見られました。そのため、神学生にアルバイトを頼み、一冊一冊チェックしたこともありました。

モンゴルフェスティバルでの聖書販売
モンゴルフェスティバルでの聖書販売

― モンゴル語聖書を受け取り、信仰に変化が見られた方はいらっしゃいますか?

小さな集会を通じて、9名の方が洗礼を受けられました。困難な状況や霊的体験を通して来られる方もいましたが、最終的に残るのは、主イエス様に出会い、心から信じた方々です。今では現地の牧師が教会を導いており、モンゴル人自身が教え、牧会していくことが大切だと考えています。

― 最後に、読者に一番伝えたいことをお聞かせください。

聖書は永遠のいのちへ至る道を示す神のことばです。教育や福祉の働きも重要ですが、魂の救いこそが最も大切だと信じています。翻訳は単なる言葉の置き換えではなく、読者に福音が届くようにビジョンを持ってなされるべきです。聖霊様が働いて、み言葉が読む人の心に届くよう、翻訳の働きに関しては後継者が起こされ、分かりやすい訳を提供し続けていってくださることを願っています。

祈祷課題 読者の皆さまもお祈りいただけますと幸いです。
1. モンゴル人が心から主イエスに出会い、霊的に成長することができるように
2. モンゴル人自身が自国民に福音を伝え、健全な教会形成がなされるように
3. 完成したモンゴル語聖書が広く用いられるように
4. 翻訳者としての後継者が起こされるように

北村先生のお話から、モンゴルでも母国語で翻訳された聖書が必要とされていることが伺えました。その聖書を通して多くの方がイエス様に導かれています。
世界にはまだまだ母国語の聖書を必要としている国や地域が多くあります。どうぞ、北村先生のお働きや、新生宣教団の働きを覚えてお祈りください。

日本でもこの聖書を購入できます。お求めの方は下記まで
THRUSTEPPES(スルーステップス)thrusteppes.jimdofree.com

 
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