ウクライナ支援レポートー聖書と支援物資をウクライナへ

ウクライナ支援レポート
 

今年の2月に急遽始まったロシアによるウクライナ侵攻。それにより多くのウクライナ市民が戦禍に巻き込まれました。ウクライナの近隣諸国では、ウクライナの人々の支援に乗り出しています。
私たちの姉妹団体「ニューライフ・ミニストリーズ・ノルウェー(以下NLMノルウェー)」も、ウクライナの支援団体「ウクライナエイド(Ukrainahjelpen Karmøy)」と協力して、被災地の支援にあたっています。

新生宣教団は5月に、ウクライナ語新約聖書2万5千冊を急遽印刷し、現地で支援活動をするNLMノルウェーに送りました。聖書は8月に現地に到着し、早速8/27~9/2の7日間に18,600冊が配布されました。
現地で支援活動にあたったNLMノルウェーから、その活動のレポートが届きましたのでお分かちします。

支援チームは、援助物資とウクライナ語新約聖書を届けるため、ウクライナ・リヴィウの新生児病院とその周辺に赴きました。旅程は8/27から9/2の7日間で、往復距離は4,000kmに及びました。

ウクライナ支援レポート

聖書と支援物資をパッキング
聖書と支援物資をパッキング

8月27日、私たちはバン、大型車、トレーラーに18,600冊のウクライナ語新約聖書、160キログラムの粉ミルク、300袋の新生児用おむつを積み込みました。ミルクやおむつはリヴィウ市の、ある病院のクリスチャンドクターの要請によるものです。

「人道支援」と書かれた私たちのトラック
「人道支援」と書かれた私たちのトラック

ノルウェーからウクライナまで車で行くには、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ポーランドを横断しなければならず、8月30日にようやくポーランドとウクライナの国境に到着しました。国境を渡るために待機していた車の列は少なくとも1キロはありましたが、私たちは「人道支援」と書かれた看板を掲げていたおかげで、その列を通り過ぎて国境に直行することが許されました。

国境のポーランド側に着いた時、ウクライナ側のコンピューターシステムがダウンしていて、国境を渡ってウクライナに入ることができないことがわかりました。別の国境検問所に行くためにさらに2時間運転しなければなりませんでした。私たちは全員同じように別の検問所を通り、2時間後には国境を越え、ウクライナに入ることができました。
ウクライナの目的地であるリヴィウ市は、国境から車で1時間半のところにあります。問題は、23時から6時までの間は外出制限があるため、その間は誰も外に出られないことでした。 私たちがウクライナに到着した時、すでに遅い時間になっていました。私たちの車の1台は23時前に着きましたが、もう1台は真夜中の到着になってしまいました。彼らは検問所で止められましたが、人道支援物資を持ってきたということが分かったため、警官は何の問題もなく喜んで私たちが寝る場所まで車で送ってくれました。

リヴィウの人々との出会い

ヴォルドージャ牧師との再会
ヴォルドージャ牧師との再会

翌朝、リヴィウ市で私たちと連絡を取っていたヴォルドージャ牧師に会いました。私は戦前にウクライナにある彼の教会を訪れたことがありますが、彼は喜びに溢れた、キリストにある偉大な兄弟です。私たちがウクライナの人々を助け、祝福するためにノルウェーからはるばるやって来たことを、 彼は心から感謝していました。また、私たちはノルウェーからの食べ物や援助を提供することもできました。

リヴィウ市の副知事と
リヴィウ市の副知事と

それから彼は私たちを市役所に連れて行ってくれました。リヴィウ市は人口80万人の都市で、市役所は大きくて美しい建物でした。 ヴォルドージャ牧師の教会に所属している市議会議員たちにも会いました。ヴォルドージャ牧師は市内のすべての学校、幼稚園、病院の責任者でもあります。それから牧師は私たちを市の副知事のオフィスに連れて行ってくれました。

大きな責任を担う副知事は、まだ若い男性でした。私たちは彼に、新約聖書を届けるためにウクライナに来たと伝え、希望と平和のメッセージであるイエス様の福音をウクライナの人々に届けたいと言いました。彼は、私たちが戦争中の国に危険を冒して来たことに大きな感謝を表してくれました。
私たちは多くの新約聖書を渡し、彼のために、そしてウクライナの平和のために、また、祖国のために戦っているすべての人々のために一緒に祈りました。
彼はまた、2月から5月にかけて市が難民で溢れかえっていたことを話してくれました。この都市だけでも最大で250万人の難民がいたそうです。市当局は、スポーツホール、劇場、学校、教会、幼稚園などで難民を受け入れ、めざましい働きをしていました。その後、いくつかの難民キャンプが建設されました。

リヴィウの難民キャンプで
リヴィウの難民キャンプ

私たちはそのうちの一か所を訪問することができましたが、そこは行き届いた施設でした。そこで暮らしていたのはほとんどが女性や子どもで、あとは数人の高齢者でした。18歳から60歳までの男性は戦争で戦うために故郷に残っていたからです。
難民の方々に新約聖書を配ることができて嬉しかったですし、彼らも喜んで受け取ってくれました。そして高齢の女性に聖書を渡すと、それを胸に強く抱きしめながら涙を流していました。

リヴィウの町で出会った若い兵士たち
リヴィウの町で出会った若い兵士たち

難民キャンプを後にして私たちは市の中心部に行き、そこでウクライナ軍が破壊した多くのロシア軍の装備品を見ました。また、19歳の若い兵士のグループにも会いました。彼らは祖国の自由のため、最前線で戦う準備をしていました。この若者たちが祖国のために進んで命をささげようとしている姿が胸に迫りました。

喜んで受け取られる聖書

聖書をウクライナ聖書協会の地方支部へ
聖書をウクライナ聖書協会の地方支部へ

それから、新約聖書をウクライナ聖書協会の地方支部に持って行く時が来ました。この支部は、約1,000万人の人口を抱える8つの県にまたがる地域で聖書の配布を担当しています。持参した新約聖書の箱をすべて開けることができたのは大きな喜びでした。これらの聖書がここに届くまで、とても長い道のりでした。まず日本の新生宣教団で印刷され、ノルウェーに出荷され、その後車に積まれてウクライナに向かい、ついに目的地に到着したのです。

ディレクターと
ディレクターと

私たちは地域ディレクターとそのスタッフにも会いました。彼らは貴重な荷物を届けに来てくれたことに感謝し、聖書と新約聖書の必要は計り知れない、人々はいつも聖書を求めていると話してくれました。彼らはまた、彼らが配っている子ども用の聖書も見せてくれました。戦時下で人々は、イエス様だけが平和と希望を与えることができることに気付きます。ディレクターは、私たちが持ってきた新約聖書を全国のさまざまな地域で無料で配布すると説明してくれました。
彼はまた、兵士たちは自分の聖書を必死に求めているとも言いました。戦場では神を信じない兵士は一人もいない、とも言いました。戦争の中で、彼らは明日殺されるかもしれないという境遇にあって、主を探し求めているのです。

また、私たちは11万冊のウクライナ語旧新約聖書が新生宣教団で新たに印刷されることについても話しました。表紙の多くは迷彩色で、それらの聖書は兵士たちに配られるのです。
彼は、新生宣教団が聖書を提供し、ウクライナを覚えて祈ってくれていることに感謝していました。
そして私たちは一緒に祈り、ウクライナの人々を主のもとに導く聖書を渡すことができ、とても感謝な時を過ごしました。

戦地に息子を送った女性に聖書を手渡す

戦地に息子を送った女性と
戦地に息子を送った女性と

その後、私たちはヴォルドージャ牧師の教会に行き、そこで高齢者のための集まりを開きました。彼らに会えて本当に良かったです。彼らは、私たちが戦争の危険があるにも関わらず会いに来てくれたことに感謝してくれました。その中の何人かの女性は、戦争の最前線にいる息子のことを非常に心配していました。私たちは彼らと共に祈り、神のみことばによって彼らを慰めました。そして彼らは大きな感謝をもって新約聖書を受け取りました。

新生児のための病院にて、若い妊婦や医師たちと
新生児のための病院にて、若い妊婦や医師たちと

ヴォルドージャ牧師の教会には、妊婦や新生児のための病院で働く医師がいます。彼女が私たちに、助けを求めてきました。赤ちゃん用の粉ミルクもおむつもなかったからです。戦争のため、供給は非常に限られているのです。
私たちは彼女に粉ミルク、おむつ、ベビークロス、ボトルなどをお渡しすることができました。妊娠中のお母さんたちは皆、私たちからの贈り物を喜んで受け取ってくれました。
私たちは主治医や他の何人かの医師に会いましたが、彼らは私たちの訪問と私たちの贈り物に感動して涙を流してくれました。その後医師たちは私たちを病棟に連れて行き、18人の若い妊婦たちに会わせてくれました。 彼女たちにとって出産は喜びですが、夫が戦地で帰らぬ人になるのではないかと 恐れ、混乱していました。

私は主治医に話をする許可をもらい、妊婦や病院のスタッフに福音を分かち合うことができました。イエス·キリストの福音だけが、真の平安と真の希望と真の未来を与えてくださる唯一のお方であることを改めて分かち合いました。それから私は妊娠中の女性、彼らの夫、医師、そしてウクライナのために祈りました。

私たちが帰ろうとした時、主治医が私に近寄って長い間私の手を握り、目に涙を浮かべて、聖書を分かち合い一緒に祈ってくれたことを感謝してくれました。彼女はクリスチャンではありませんでしたが、福音が彼女の心に触れたことは明らかでした。

先ほどお話ししたように、リヴィウ市では 23時から6時の間は外出規制がなされています。その理由は、夜の間、多くの大型トラックがNATO諸国から受け取った武器や装備を積み、市街地を通って交戦地帯へと走っていくからです。それらはアメリカ、ヨーロッパからポーランドを経由して輸送されます。このような状況下で、人々が通りに出ることは望ましくないのです。私たちが寝ている間も大型トラックの走行音やヘリコプターの音が聞こえてきました。この国はまさに戦争をしているのだと、改めて思いました。

戦時中にもかかわらず、人々はできるだけ普通の生活を送るために最善を尽くしています。しかし、時には空襲警報が鳴り、防空壕に駆け込まなければならないのです。
戦争の恐怖はすぐそばにあるので常に心配がありますが、同時に人々は祖国を心から誇りに思い、そのために戦うことをいとわないのだと感じました。

どうかウクライナのために、そして多くの魂を主の救いに導こうとしているすべての教会のために祈り続けてください。
私たちは無事に帰ってくることができました。国境を越えて再びポーランドに入るのに約1時間かかりました。ノルウェーに向けて出発し、9月2日に再びノルウェーに到着しました。

ウクライナまで車を走らせ、福音と援助を届けることができ、大きな祝福を受け、感謝しています。  
神様は本当に私たちに御手を差し伸べてくださいました。
私は10月にさらに7,000冊の新約聖書を持ってウクライナに戻り、病院を手伝う予定です。そのためにもぜひ覚えてお祈りください!
主にありて

2022年9月12日
ヴィダー·アーロンセン
(ニューライフ・ミニストリーズ・ノルウェースタッフ)


多くの祈りによって聖書が印刷され、また無事に現地に届けられたことを神に感謝します。
このために覚えてお祈りくださり、捧げてくださった方々に、心から感謝します。

これらの聖書が、心に傷を負い、不安の中にあるウクライナの人々に喜びをもって受け入れられていることを感謝します。
どうぞ引き続きウクライナの人たち、また現地で配布活動をするミッションパートナーのために、引き続き覚えてお祈りください。

これらの聖書は無事に届けられましたが、まだ必要な資金は満たされていません。
ウクライナ聖書協会は、緊急にさらに多くの人が聖書を必要としていると私たちに訴え、私たちはさらに、11万冊の旧新約聖書を追加で印刷することを決めました。
どうかこの印刷が守られるように、また必要が供えられるように、覚えてお祈りください。

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